枕花の夢
同じような夢を見ることがある。
いつのまにか実家にいて、理由や方法はどうであれ、どうにかして実家から脱出する夢。
幾度となく見て来たし、その度に必死に実家から、自分の部屋から、逃げ出そうとしてきた。
今朝は、初めて、夢の中で、実家から逃げ出そうとしなかった。
先日帰省したときに、じわじわと、一人暮らしにはない安心感を感じてしまったからかな。
私は死ぬまでひとりなのかなぁ。
できることなら、一生を、大好きな友人たちに囲まれて生きていたい…。
箱庭の中に自閉したい。
あの頃にしがみついたまま、何も見たくない。
イランイランとか、百合とか、白い花の香りが好きだ。
これは数少ない私の自覚し得る本能。
それが如何に貴重なことなのか少し分かってきた。
私が確固たる好きなものって、あまり思いつかないから。
誰に影響されるでもなく、移り変わるでもなく、好きなもの。
自己同一性をぼんやりと感じることができる。私が私である証拠というか、過去と今が繋がってる安心感というか。
忘れないでいたい。失くさないでいたい。
そう思うことさえ、忘れてしまうのかな。
白い花に埋もれたい。