無条件降伏▼

自殺を目論んでいたがそれすら手放した粗悪品

過去と病熱

あの曲は嫌いだ。こんなに心臓が切り刻まれる歌はない。好きなことが嫌いなことになっていく。あの人のせいで。あの人と離れ離れになったせいで。こんな醜くて不透明で不甲斐ない感情を恋なんて呼びたくない。

 

私には隣にいてくれる人がいる。それでいい。それだけでいい。

そしたら、それ以外、なくなった。

友達も減った。会わなくなった。

 

脳が死んでいく。停止していく。腐って崩れていく。人間を全うできなくなる。

 

なるべくなるべく脳に負担がかからないように、過去を揺り戻さないように。

穏やかな今で、塗り重ねた。

 

夏が来る。死の季節。

最も大きな心が死ぬ季節。

希死念慮すら茹だるような死。

私はまた、夏が嫌いな私になった。

あの人がまだ、私から消えないせいで。

 

私はもう、あの人の中から消えているのかな。

そうだったらいいね。でも、少しだけ思い出してくれたら嬉しいかもしれない。どっちなんだろうね。どっちも苦しいや。

苦しいのはやだな。

不快感がゆるゆる煮立つから夏は嫌いだ。

夏が私を手緩く殺していく。